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1.はじめに
2.広河原ルートの概要
3.恵那山広河原ルートへのアプローチ
4.広河原ルートの注意点
5.2003年10月の事故について

cautionアプローチ林道にご注意
広河原ルートのアプローチ林道「大谷霧ヶ原線」は脆く、しばしば通行止めとなります。事前に阿智村役場で最新情報を確認されることをお勧めします。


1.広河原ルートは2001年10月開通の新しいルート

恵那山頂上稜線の東端から阿智村側へ伸びる顕著な尾根があります。そしてその尾根上には営林署の作業道が存在することが古くから知られていました。神坂峠ルートや黒井沢ルートの上部から注意して見ると、笹の尾根上に一条のラインがはっきりと確認できたのです。非常にすっきりとした尾根ですが、これまではその作業道の入口が不明瞭であることや頂上まで達してないことから、恵那山の登山道としてトレースされることは無かったようです。しかし2001年10月、この作業道は「広河原ルート」と言う名前の登山道として正式に公開されました。地図をみると判るようにルートの全長は恵那山の登山ルートのなかで最も短く、アップダウンもほとんど無い大変に歩きやすいルートになっています。所要時間も短いために、恵那山の最短ルートとして最近特に人気があるようです。ツアーなどの団体登山で歩かれることも多くなりました。

古い恵那山の地図には、黒井沢ルート、神坂峠ルート、前宮ルートとともに阿智村側に一本の登山道の記述がありました。それは本谷川黒沢の沢沿いに記述されているものでしたが、本谷川黒沢と不動洞を分ける尾根(@恵那山では達人尾根とも呼びます)に登山道(作業道?)があったとも聞きます。ちなみに本谷川黒沢の源流部には石灰鉱山があって、そのための作業道、石灰を運び出すための馬橇道、があったそうです。

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広河原ルートの概要

 アプローチ林道の悪さは恵那山随一
アプローチの林道はしばしば通行止めになります。工事が無くても落石などの危険が常にあるため、林道がヘアピンカーブ状になる場所、通称S字カーブの手前で閉鎖されていることが多い状況です。S字カーブ手前には臨時の駐車場が設けてあります。ここに駐車して登山口まで徒歩で向いましょう。希にバリケードを勝手にどけて登山口まで車を進める人も見られますが、これはやめた方が良いですね。林道を歩いてもたかだか30分足らずです。それすら惜しむのなら、登山などやめてしまえば良いでしょうに。尚、林道がもっと下部の戸沢集落付近で通行止めになることもありますが、その場合に全区間林道を歩いたとしても登山口まで1時間だということを覚えておいてください。当たり前のことですが、通行止めバリケードの前に駐車するのは工事車両や緊急車両の通行の妨げになるので絶対に避けること

S字カーブを過ぎると「恵那山で最も悪い林道」と表現した訳が判り始めることでしょう。左岸、つまり上流へ向かって右側のヘブンス側斜面は、どこから落石が飛んできてもおかしくない状況が続くのです。春先や降雨後に通るときは特に要注意です。林道の短いトンネルを抜けると広河原登山口です。そこは数台分の駐車スペースと慰霊碑を兼ねた登山ポスト(後述)、登山口を示す看板のある場所です。山側には清水も湧き出ており、飲用水に利用する人もいます。稀にこの駐車スペースにテントを張るパーティがいますが、左岸からの落石のリスクが高く危険です。看板に導かれて河原へ下り、渡された仮橋で本谷川を渡ります。ここで亡くなられた女性の冥福を祈り、安全への誓いを新たにします。

登山者を見つめるポスト
広河原登山口には安全の碑という文字が刻まれた立派な登山ポストが建てられています。この碑は、2002年5月2日に登山届提出ポストを設置した帰路、林道から自動車ごと転落されて亡くなってしまった阿智村企画商工観光課熊谷課長さんを偲んで建てられたものです。詳細は、 矢澤さんのウェブページ 参照。


 いきなり始まる急坂
対岸から道は少し下流へ戻るように付けられています。やがてそれはジグザグの急坂となって高度を上げていきます。苦しい最初のピッチですが、足元を注視し、川音が遠ざかるのを楽しみに黙々と歩きましょう。辺りは唐松の人工林で、登山道は非常に良く整備されています。歩きにくい箇所には迂回路や架橋が設けられているだけでなく、登山道が水路になって荒れぬように排水にも工夫されているそうです。これらは営林署が関わったプロの仕事なのです。登山道維持が地元山岳会のボランティアに支えられている岐阜県側との大きな違いと言えるでしょう。さて、標高1500mを越えると傾斜が少しゆるみます。神坂峠ルートの尾根も見えるようになり元気も沸いてきますが、目指す最初のピークはまだ結構な高さで目の前に聳えています。初心者のパーティならちょうどこの辺りで登山口から1時間くらいでしょうか。無理をせずに休憩を取れば、野鳥のさえずりやドラミング音が賑やかに聞こえてくるでしょう。あと少し頑張ると看板のある最初のピークに着きます。このピークを地図上の1716m標高点と混同する人が多いようですが、これは間違いです。以前看板に「1716」という文字が落書きされたのも一因です。実際の1716m標高点はもう少し先で、現地は窪地になっているようです。この看板への迷惑な落書きや実際の1716m標高点の位置についてコラムで解説しています。

 展望の良い稜線の道
看板のあるピークを少し過ぎると尾根にでます。起伏の少ない歩きやすい尾根道です。振り返れば、中央アルプスや南アルプスの展望がが広がることでしょう。行く手には岳樺越しに頂上稜線が見え始めます。途中急な坂道もありますが、先ほどまでの急坂に比べたら大したことはありません。固定ロープの張られた岩混じりの坂を越すと、県境分岐はもうすぐです。看板ピークから県境分岐までは、約1時間少々といったところでしょうか。

 県境から辿るのは、初期の黒井沢ルート
県境分岐で既に2000mを越えています。もう恵那山頂上台地の一角に達したと言っても過言ではないでしょう。多くの登山者はこの分岐付近をあまり気にせずに通過して行きますが、是非立ち止まって付近の地形を良く覚えておきましょう。この場所は頂上稜線と広河原ルートの尾根を分ける重要な分岐点だからです。また詳しくは述べませんが、この県境分岐から南東方向へ分け入ると200mほどで黒井沢ルートに合流します。興味のある方は、コラムをご覧下さい。さて頂上へは県境に付けられた登山道を緩やかに登っていきます。ここは深田久弥が昭和35年4月に日本百名山の取材で訪れた際歩いた「初期の黒井沢ルート」なのです。黒井沢ルートのページでも述べましたが、昭和37年頃に現在の黒井沢ルートへ変更されたため廃道になってしまっていたのです。黒井沢ルートの冬道として積雪期に歩かれる以外は歩く人もほとんどいなかったこの県境部分、そこに登山道が蘇ったのは楽しいことです。偽ピークを超し一旦下って登り返すと三角点のある頂上広場です。先ほどの県境分岐からゆっくり歩いても20〜30分でしょう。

ところで、広河原ルートで恵那山に登る人の多くはこの三角点のある広場(通称、山頂)まで来て引き返す様です。素敵な避難小屋とバイオトイレ、その北西にある恵那山最高点(2191)に寄らずに帰ってしまうのはかなり物足りない山行だと思いませんか。

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3.広河原ルートへのアプローチ

まずこのルートでの恵那山登山を計画する前に、広河原登山口への林道が通行できるか否かを確認する必要があります。災害復旧や防災工事が頻繁に行われているからです。無理をして工事中の林道を走行するのはご自身が危険であると同時に、前述の工事の妨げにもなり得ます。

神坂峠から林道を徒歩で50分下ると広河原登山口へ行くことが可能です。これを利用すると、例えば広河原ルートから登頂し、神坂峠ルートを経由して富士見台へ縦走、その後林道を徒歩で広河原まで戻る・・・という新しい周遊コースも可能になります。逆コースも可能ですが、林道歩きが登り道になるので若干辛いかもしれません。

アプローチ地図  mapionのHP
( 表示される + マークは、地図の中心点) 
コンビニや商店  園原インターより奥には店は一切無い。 
登山計画書提出ポスト ポストはあるが、用紙切れもある。あらかじめ作成して持参した方が無難である。
登山口の分り易さ 看板有り、確認は容易。
水場の有無 登山口の山側に湧き水が出ているが、あらかじめ用意した方が無難。
登山道上に水場は無い。
トイレの有無 登山口にトイレは無い。登山道上も山頂小屋まで無し。
登山口や駐車場で前日泊する場合は、必ず携帯トイレを使用すること。
2005年春、園原ICとヘブンス入り口の間に公衆トイレが設置された。
駐車場の有無 広河原登山口に数台駐車可能。
但し、途中で通行止めの場合が多い。林道を全区間歩いても1時間少々。
林道の情報  阿智村役場(電話代表 0265-43-2220)  
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4.広河原ルートの注意点

アプローチの林道が脆い。必ず事前に阿智村役場で確認して下さい。本谷川を仮橋で渡りますので、増水時は渡れない、戻れないことが有り得ます。恵那山の最短コースとして有名になりつつありますが、最短=必ずしも安全ではないことを肝に銘じて下さい。

広河原登山口の林道脇でキャンプをされるパーティを見ます。駐車スペースがテントを張るのにちょうど良い具合であること、湧き水が得られること、何より登山口の真前であることから人気の様です。しかし私ならここでは絶対に泊まりません。車を停めるのも躊躇われます。この場所で山側を見上げてみてください。急峻なルンゼがあります。春は雪崩、その他の時期も落石の危険が常にあります。どうしても前日泊の必要がある場合は、S字カーブの臨時駐車場かその周辺、或いは広河原登山口を更に進んだ林道脇にテントを張れる空地があります。しかしいずれもテント指定地ではありませんし、トイレもありません。泊まる場合は必ず携帯トイレを利用するべきです。

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2003年10月の事故について

その事故は恵那山山頂付近の紅葉が見頃になる秋のハイシーズンに起こりました。2003年10月13日は三連休の最終日、朝から雨が降っていたそうです。前線を伴う発達した低気圧が日中に東海地方を通過することが予想される状況でした。そんな天気の中を4〜50名くらいの人たちが広河原から入山して行きました。犠牲者の女性もその中の一人でした。登頂後強くなった雨に追い立てられるように登山口まで下ったことでしょう。すると朝は小さな流れだった本谷川は濁流と化し、仮橋は水没していたのです。無理して渡るのは目に見えて危険な行為でした。すぐ下流には落差のある砂防堰堤があるため、万一流されればまず助かりません。登山者は登山口を目の前にして待機を余儀なくされました。事故後の地元紙によれば、犠牲者の夫婦は「渡るのは止めた方がよい」と言う他の登山者の忠告を聞かずに渡り始めてしまったそうです。二人とも流され、ご主人はなんとか岸に辿り着きましたが奥さんはずいぶん下流で遺体で発見されたのです。

この事故の原因は何でしょう。

本谷川に安全な橋が無かった為でしょうか?
他の登山者の忠告を聞かず、無理をして渡渉したからでしょうか?
それとも、そもそもこんな気象条件で登山を決行したミスでしょうか?

私は天候判断を誤り、入山してしまったことが最も重大なミスだと思います。皆さんはどう思われますか。いずれにせよ、こんな初歩的な天候判断も出来ない初心者が大挙して押し寄せている。それが広河原ルートの現状なのです。

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2004年2月15日 HTMLを書き直しました。
2004年9月10日 一部加筆修正しました。
2004年10月24日 カウンターを設置しました。
2005年1月15日 一部加筆修正しました。
2005年7月6日 一部加筆修正しました。
2008年3月23日 一部加筆修正しました。
2010年3月25日 林道通行止めの情報を加筆。
2010年9月21日 林道の情報を修正。