パンドラの箱(2)
60年の時を超えてやってきたラジオの箱を開けた。写真は重厚な木製ケースから取り出したシャーシである。ニョキッと生えた三本のツマミは、左が電源兼トーン切り替えスイッチ、真ん中がボリューム兼ラジオ/PU切り替えスイッチ、そして右が選局だ。シャーシ上部には、ヒューズの載った電源トランス、黒いプーリーの付いたバリコン、円柱形のIFTが二本、赤いラインが目印の電源平滑用ブロックコンデンサ、そしてアンテナコイルが見える。シャーシ後方にあるはずの真空管は五本とも外してある。
この6S-6のレイアウトは、ゼネラル6S-5とほぼ同一である。6S-6にも真空管とIFTのレイアウトに若干のバリエーションがあるようだ。ウェブで見る6S-6は真空管が五本一列に配置されるものが多く、本機の様にIFT(1)が四本の真空管と並ぶ配置のものは少ない。6S-5の後継バージョンとして発売された6S-6の、その初期バージョンということだろうか。ちなみに6S-5と6S-6の違いは、トーン切り替えの有無である。また6S-6の真空管が五本一列に並ぶバージョンでは、パディングコンデンサが省略された様である。これは後述する奇妙な部品配置と関係があるのかもしれない。
奇妙な部品配置
ホコリやネズミの糞尿、油にケムリの凄まじい汚れと、ハラワタのはみ出したコンデンサのジャングルのようなシャーシ内部だが、そうした汚さ以上に驚くのがパディングコンデンサの配置だった。私の様なレストア初心者でも、「これはないでしょう?」と思ったその配置は、発振コイルから遥か遠く、電源トランスのすぐ横(写真ではすぐ上)なのである。前出の6S-5にも書かれている様に、この部品は発振コイルの近くに配置されるべきものだ。この写真で言えばシャーシの上端に配置するべきで、他のラジオでも実際そうなっている。他に取り付け穴などは無いため、この独特の配置がオリジナルだったものと推測される。その後のマイナーチェンジでパディングコンデンサ自体が廃止された理由も、もしかしたらその配置ミスのリコールだったのかもしれない。60年前のラジオにそんな思いを馳せるのも、もちろんレストアの楽しみの一部である。
6S-6の次のモデルとなる6S-7になると、シャーシが若干拡大されて、ブロックコンデンサも電源トランス近くのノーマルな場所に配置されている。尚、回路や機構は6S-6とほぼ同一である。このリンク先の近藤OMの素晴らしいラジオを見るたびに、「いつかは私も」と思うのである。
参考にしたウェブページ
- 6S-5:ラジオのページ
- 6S-7:続真空管ラジオ修復記


